ハレルヤ

ブラディ・サンデーのハレルヤのレビュー・感想・評価

ブラディ・サンデー(2002年製作の映画)
3.9
1972年の北アイルランドのロンドンデリーで発生した血の日曜日事件。歴史的な事件の様子をドキュメンタリータッチで描いた実録ドラマ。U2の名曲「サンデー・ブラディ・サンデー」でも取り上げられた本作の出来事。興味深く鑑賞しました。

プロテスタントから迫害を受けるカトリック信者。宗教問題で揺れ動く北アイルランドで、カトリックの公民権を訴えデモ行進が行われる。その先陣を切るのが下院議員のアイバン。彼を中心に一連の出来事が描かれます。

監督は本作で一気に名を上げたポール・グリーングラス。彼の持ち味である手持ちカメラでの臨場感あるカメラワークが終始冴え渡り、後のジェイソン・ボーンシリーズへの繋がりが伺えました。

前半はデモの日へ向けてのアイバンや血気盛んな若者たち、対応を練るイギリス軍のやり取り。後半の1時間はデモ当日。予想を遥かに超える人数に統制が取れなくなり、若者たちが軍へ挑発。それがエスカレートしていき、軍も放水や催涙ガス。ゴム弾、ついには実弾を使用しての対抗へと発展。

それに銃を使って応戦する者も居たため、軍は一気に容赦ない一般市民への銃撃による掃討を開始。成す術無く逃げる人、負傷者を助けようとした人、白旗を上げて降伏の意思を示した人。見境無く撃たれていく地獄絵図のような状況。

アイバンの決死の訴えも当然意味を成さなくなり、13人の死者を出す惨劇になってしまいます。この日発砲したイギリス軍の兵士は誰一人裁かれていない事実。アイルランドとイギリスの深い溝がより一層浮き彫りになった結果でした。

元々テレビ映画として製作された本作。後に劇場公開もされましたが、そうとは思えないスケールと緊張感が貫かれていて、1つの作品としても見応えは抜群でした。
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