ガスバーナー殺人鬼！

15歳の娘をレイプしたクソ男。そいつを惨殺したパパが精神病院送りになってから4年。19歳になった娘と継母の2人で経営するバーにやってきた主人公は、娘と継母の親子同時攻略に乗り出し、最強に気持ち悪い三角関係に発展するキモ過ぎ映画。そして妻と娘を同時攻略されたパパの影が忍び寄る…。

ハマーサイコホラーシリーズの2作目。今度は『サイコ』成分はほとんどないながらも、『悪魔のような女』影響下のいつものジミーサングスターらしさ全開な二転三転するスリリングな展開。前作の『恐怖』がどんでん返しで有名になってるみたいだけど、本作の方が隠し方自体はうまいような気がする。

驚いたのはすんごいジャーロ的な映画だったこと。バーヴァ『知りすぎた少女』の1963年に対して本作は1962年。『知りすぎた少女』が最初のジャーロではないけれど、それ以降の形式の見本となった金字塔だと考えると、それ以前の本作はジャーロ史における位置づけ的にどうなっているのかがすんごく気になる！

精神病院にいるパパは狂ってるので、継母は毎回怖がって嫌々ながら義務感的に面会に行っている。そこで主人公が寝とっちゃうんだけど、ぶっ飛んでるのはパパの脱走計画を2人で練るところ。「狂ってるのに脱走させるの？」とか疑問に思っちゃうんだけど、脱走させてくれたらパパはどっかにドロンしてくれるみたいな計画練ってて、パパ脱走→主人公は継母とくっつける…みたいな謎計画…流石に無理ない？😅

殺害に至るプロローグの演出がジャーロそのもの。それぞれの目線を強調して表情の数珠繋ぎ的な流れの中で肝心の殺害者の顔だけが一切映らなくて、その代わりにスパナにカメラは寄るのだけど、その画面を占める無機物に感情を代弁させるためにスパナのトラッキング中に倒れてる娘が画面に入り込むのがすんごい好き！

それ以降はところどころカッコイイ映像はあれど、やっぱりフランシスやホルトの方がうまい気がする。それにしてもこのシリーズの初期3作すんごいモチーフが共通していて、必ず草が生い茂った離れが物語の中心になったり、崖的な極端な高低差を利用する地形が出てきたり、キスが信用ならなかったり、実の母親が一度も出てこなかったり。ジミーサングスターこの設定好き過ぎ！！

というわけで和製ジャーロな『マニアックドライバー』見てきます👍👍めっちゃ楽しみ！

• #ホラー映画と怖い映画

精神病院を脱獄したサイコパスな父親につきまとわれるサスペンスかと思いきや事態はなかなか複雑でラストで2回くらいどんでん返されるというジミー・サングスターの脚本であるが、カレラスは上手くそれを料理出来ていない。

「私が〇〇だ」みたく犯人が律儀に名乗るのがダサすぎるので辞めて欲しい。ラストの廃墟は良かった。『拳銃を売った男』とかベロッキオの『蝶の夢』とかを思い出した。

傑作『恐怖』のジミー・サングスターの脚本だけあって、二転三転のどんでん返しで楽しませてくれる。残念ながら、脚本の面白さにマイケル・カレラスの演出が追いついていない感じ。カレラスらしいエロスは盛り込まれている。