悪魔の毒々クチビル

バイオ・スケアード/悪魔の遺伝子の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

2.5
ヤツは神出鬼没で見え辛い-(カメラワーク的な意味で)

遺伝子工学研究所で産まれた新生物シンジェノアが襲ってくるお話。


監督は後に「TATARI」を手掛けるウィリアム・マローン。
1980年の作品で、内容こそ街で発生した連続殺人を元刑事とその相棒が探っていくベタなプロットですが、モンスターがラスト数分以外はチラッとしか映らない上に基本暗くて何が起こっているかが非常に分かり辛かったりとある意味お手本のような駄作モンパニ映画となっております。

そしてモンスターのデザインも監督によるものらしいですが、まぁはっきり言っちゃうとまんまエイリアンです。
絶対「エイリアン」観て「俺もこういうの撮りたい!」ってなったんだろうなって分かるくらいには、その影響が伝わって来ます。
ゆっくりと上半身を上げるシーンもまんま「エイリアン」だし、潜んでいる場所にエイリアンの唾液チックなヌルヌルの液体があったりまさかのインナーマウスまであると言うパクr…オマージュっぷり。
因みに本家はそのインナーマウスで頭蓋骨を粉砕していましたが、こちらは破壊でなく人間の髄液をチューチュー吸う用のストロー的なもんです。
言ってしまえばディープキスで相手を仕留める意外と斬新なモンスターですね。

中盤辺りまではこれまたエイリアンっぽい顔のアップのカットがあると、異常にカメラがブレて見辛い所じゃなくなってエイリアンと丸被りな顔を誤魔化す為かなとか最初は思っていました。
しかし終盤で漸く全体像が確認出来る頃に、実は頭部はそこまで似ていない事に気が付きます。あんな面長じゃないし、目も付いているしでエイリアンカラーにコーティングされた半魚人みたいな感じ。
てことはあの異常なブレはエイリアンっぽさを隠す為でなく、逆にエイリアンっぽさを少しでも出そうとした結果なのか…?と思わずどうでもいいことに思考を巡らせてしましました。

ストーリー自体も特筆するような箇所は無くて、主人公の顔の絶妙なウザさだけが若干残るくらい。そして何故ヒロインは助かったのか。
あとシンジェノアを造った博士がその危険性に気付き成長前に殺そうとしていたのは良いんだけど、その前にシンジェノアに殺られるのでなくシンプルに心臓発作で死んだ設定はちょっと笑えた。

別段勧めるような代物ではないんだけど、昨今のペラいCGの駄作モンパニ映画よりも今作みたいに出番は少なくとも、アナログ仕様で生き物らしさが感じられる駄作モンパニ映画の方がまだマシなのかなとふと思いました。

余談ですがこのシンジェノアのデザイン、一部マニアの間で地味に人気になったらしく後にフィギュア化だけでなく、「シンジェノア」のタイトルで今作とは全く繋がりの無い作品が製作されましたとさ。