悪魔の毒々クチビル

プレデターズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

プレデターズ(2010年製作の映画)
2.5
「遅かったな」

地球から拉致された人たちが、プレデターのハンティングゲームに強制参加させられるお話。


「プレデター」単独シリーズとしては3作目、そして2から約20年ぶりとなる続編です。
俺は今も勿論好きなんだけど、プレデターっていうキャラに特に嵌まっていたのが中高生の頃でした。
当時はAVPシリーズはあれど、プレデター単体の新作が中々作られず「製作されないかなー」と中学生の時からずっと待ち望んでいたので、今作には並々ならぬ期待を抱いていました。「プレデター2」公開当時とか生まれてもいなかったしね。
遂にスクリーンで「プレデター」が観られる!とね。
何なら公開初日が高校の文化祭初日と被ってしまったので、午前の部だけすっぽかして観に行った次第です、はい。

そんなハードル激上がり状態で観たら、あれまぁクッソつまんねぇと、驚愕のあまり失禁しそうになりました。

今作で登場するプレデターは4体。
往年のプレデターらしい姿で、バーサーカー側と敵対しているクラシックプレデター。
そして新プレデター(バーサーカー)はプレデタードッグを操るドッグ・ハンドラー。
鳥型ドローンかと思いきや生きた鳥をそのままサイボーグ化したらしい追跡デバイスを駆使する、ファルコナー。
リーダー的存在のMR.ブラック。彼にはAVPでもあったエイリアン狩りの成人の儀式を最年少でクリアした、と言う裏設定があります。

個人的にプレデター側の生態を掘り下げるのは大いに歓迎する要素なので、新種のプレデターが追加された事には何の文句もなかったんだけど如何せんそこまで脅威に映らない。
今までのプレデターと違うのは見た目だけで、それ以上の凄みはあまり伝わって来なかったです。
ブラックの素顔はクラシックタイプと差別化がしっかりされていたone of ugly motherfuckerなルックスで、これは個人的にはアリでしたが。
装備に関してはやや簡素で、刃が一本になったリストブレイドと若干威力高めのプラズマキャノンをメインに、鳥サイボーグとかの新装備の活躍はそこそこ。
俺のお気に入りのネットランチャーは登場せず。
全体的に1を意識した作風なのは間違いんだけど、ジャングルと同化した神出鬼没なプレデターの恐怖が一切表現出来ていないのはどういう事なの。

そもそも地球からわざわざ狩る価値のある強者を自分達の惑星に拉致してくるって設定の割には、チラホラその設定に見合わないキャラもいるんですよね。
ウォルトン・ゴギンズが演じたスタンズは死刑囚ではあれど、レイプ魔なので別に戦闘力って面から見ればもっと良い候補なんか腐るほどいただろうし。性欲の強さも選考基準だったとでも言うのだろうか。
あの医者も性格的にはサイコさんだけど、この集まりに選抜される様な逸材ではなかろうに。
雰囲気から狂気も伝わらない、トファー・グレイスの頼りない3枚目な感じが今回は悪い方に作用していました。

あとトレホ兄貴よ。そりゃ死ぬだろうけど、せめてプレデターと対峙する姿は観たかったよ。
ヤクザのハンゾーさんは終盤に1作目のビリーのあのシーンをまんま再現していて、立ち位置的には彼のオマージュキャラだと思うんだけどその割に劇中真っ先にプレデターの存在に気が付いたのはモンバサだったのでそこは統一してくれよとは思いました。
ローレンス・フィッシュバーンもナイスキャスティングなのに、役柄があまりに魅力無くて超ガッカリでしたね。

地味に予告編詐欺も腹立っていて、エイドリアン・ブロディにプレデターによる大量のポインターが当てられるシーンが当時めっちゃワクワクしていたのに嘘編集でしたー、にはぶちギレましたわ。
先程も触れましたが使用しているサントラと言い、これ見よがしに1を意識しておきながらプレデターが相手の強さを認めて素顔を晒す場面もなく自爆もせずで、残ったのはエンディングにあの曲を使うと言う絶望的なセンスの無さのみでした。
何ならプレデター出てから失速した、まであるくらいよ。
強いて言うならプレデター同士のバトルが新鮮で良かったです。でもあの宇宙船って、両種族で遠隔操作出来ちゃダメな気がするけど。

そんな中、作品の出来とは関係ありませんがトレホ兄貴の台詞"and then chingao"("chingao"はスペイン語)を「気付いたらクソだ」と訳していて、兄貴のキャラにあった格好良い訳だなと思いました。
何より良い台詞だよね、「気付いたらクソだ」って。俺もいつか使ってみたいと思っています。

因みに今作の後日談を描いた短編コミックがセル版ソフトに特典として付いていました。
コミックはかなり昔に失くしちゃったんだけど、主人公ロイスが4本腕のプレデターと闘っていたことは覚えています。
ええ、ボロクソ言いながらもBlu-rayは買いましたよ。

正直言うと設定やキャスト自体は全然良いと思うのに、それらの良さを全く引き出せないまま終わってしまい非常に残念な内容でした。


余談ですが、当時あまりの期待外れっぷりに思わず「いや、これはつまらないんじゃなくて、作品の面白さを俺が理解出来ていないだけで悪いのは俺の方なのでは」と言う変な結論に至り、後日劇場にもう一度行きました。
なのでこれが唯一「面白いから」じゃなくて「本当は面白い筈だ」って謎理由で劇場に再度足を運んだ作品だったりします。
まぁ結果「やっぱつまんねぇ!!」とはなりましたが、観客が俺一人の状態は初だったので貴重(?)な体験ではありました。