Yuri

キャタピラーのYuriのネタバレレビュー・内容・結末

キャタピラー(2010年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

観たいけどエログロが凄いのかなって先入観で怖くて観れなかった作品をやっと鑑賞。寺島さんの大西さんの演技が凄まじいので、物語に集中してて意外と大丈夫でした。シゲ子の夫との上下関係が入れ替わっていく表情の変化が何とも言えず、これは寺島さんの真骨頂だと思いました。戦地に送り出され、傷つき四肢を失い、PTSDになったのは、間違いなく久蔵のせいではなく国が戦争を起こしたせいだけど、戦地に行く前からシゲ子に手を上げていたことや戦地で女性に乱暴を働き殺しまくっていたことは、間違いなく、しなければならなかったことではないです。私は、人間の善も悪も信じるし、戦下で人が変わってしまうのもわかるけれど、自分で考え流されないのが人間の理性だし、きっと久蔵は元々の粗雑な性格ゆえに「戦争だから。」と言い訳し流されてしまったのだろうと感じました。その罪と罰は負うべきかと。ひたすら夫婦が狂っていく話かと思っていたのですが、シゲ子と久蔵が心を通わすシーンもちゃんとあって、この夫婦は出征前はどんな風に愛し合っていたのかな?シゲ子は暴力を振るわれていたけれど、久蔵を愛していたのかな?とこの夫婦のことを知りたくなりました。この時代の女性が男性に従順だったのは知っていますが、それでもシゲ子が久蔵を世話する姿がとても丁寧で、逃げ出さないのは、愛なのか?諦めなのか?世間体なのか?どれも正解な気がしますが、もう少し深く覗きたかったです。あとは、反戦映画なのはわかりますが、夫婦の生活と戦争のテロップの出し方のバランスが悪いです。あとは、久蔵の兄弟・親類が他人事過ぎて酷過ぎて呆然。
Yuri

Yuri