明石です

カニバル・カンフー/燃えよ!食人拳の明石ですのレビュー・感想・評価

4.3
離れ小島にある辺鄙な村に中国本土から送られてきた凄腕のカンフー警官が、貧しさのあまりヨソ者を殺して肉を食べる人喰い風習を身につけた村人たちに命を狙われる話。カンフーと食人族を融合させた(ついでに言えば『サスペリア』のゴブリンの音楽も流用した)節操も何もない素晴らしいお馬鹿映画なのだけど、不思議なことに全く飽きず見れてしまう怪作でもある。

食人映画にはお決まりの肉切り包丁に始まり(これが一番怖い)、その他さまざまな拷問器具を持ち出した後、釘バットや爆竹、果てはローラースケート(笑)まで駆使した迫力満点のアクションシーンはとてもとてもカオスで意味不明なのに、まあそういうこともあるかな、と思わせてしまうカンフーパワーの凄みに圧倒される。どこまでも節操がなくお馬鹿な設定の映画に、なぜか洗練された娯楽性を感じてしまうのは、アクションシーンの質の高さのおかげなのかなと思う。

普段アクション映画もカンフー映画もほとんど見ない私でさえ、作中で繰り広げられるアクションが豊かなイマジネーションに下支えされた創意に富むものであることは何となくわかる。本作の武術指導を務めたのが、後に『トランスポーター』シリーズを監督することになるコリー・ユン氏とのことで、アクション面のこだわりも納得ですね。その意味では、ジェイソン・ステイサムの原点はここにあり!!なのかもしれない。
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