KengoTerazono

救命艇のKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
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めちゃ面白い。というよりも、いわば戦時下の戦争映画らしからぬものだとも感じた。もちろんプロパガンダ的な要素は拭えないにしても、それ以上に極限状態にある人間同士の生々しい関係性が如実に表現されていたと感じる。
戦争という状況において、敵国の人間は、果たして人間なのか。

あの太ったドイツ人の行ったことは、無論船内のアメリカ人からすれば人間とは思えぬ所業だろう。ただ、彼の行ったことは戦時下においては妥当な判断だし、ドイツ側からすれば、素晴らしい行いともいえる。

優位と劣等が一気にひっくりかえったり、突如として獰猛に人を襲ったり、集団が正当化されたりと、なかなかに当時の人間なら尚のことセンセーショナルだったと思う。

ヒッチコックは味方と敵との関係を多少バイアスをかけているにしても、冷たく、赤裸々に描いているのではないか。
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