売れっ子小説家兼映画脚本家の夫の稼いだ金で高そうな靴や服を買い揃え、勿論しばらく公共交通機関は使ってない、家事全般をやってくれる住み込みの女中もいて特にやることのない単調な生活に飽き飽きしている専業主婦の悩みとか“知らんがな”で一喝できるがそこに物語を見出すのがジョセフロージー。妻が旅先で出逢ったらしいまだ見ぬヘルムートバーガーへの嫉妬で怒り狂う夫の妄想パートが執筆中の脚本とリンクしていき、そこで掛かる大仰な音楽とセリフのリバーブ裸で絡み合う妻と男という凄い安直な非現実がめちゃくちゃ笑えるし、その嫉妬を脚本に落とし込むために給料まで払ってヘルムートバーガーを敢えて居候させる発想がイカれてて好き。夫の嫉妬と妄想が徐々に冷めていき自由と放任へ向かうなか、対照的に妻のここではない何処かへという逃避欲とヘルムートバーガーの潔いヒモ根性が合致していく後半戦はなんかコレジャナイ感がありイマイチはまらず。結局二人はプラトニックでしたっていうオチを期待してたのに、着地するのは顔が良ければすべてが手に入るというゴリゴリのルッキズム。ダサイにも程がある邦題がなぜかよく似合う大クセコメディ。

2020-60

ヘルムート・バーガーが、ホテルのルームサービスをカートごと盗んで庭のベンチで食べているシーンから、訳のわからなさをビンビンに感じる。ノリの悪いコメディのようでもあり、み終わってからじわじわとくるへんな作品。

レンタルVHSにて鑑賞