製作費10億円、超豪華キャスト、日本初の本格的ハイビジョンVFX と煽るだけ煽られ(CMのコピーはたしか“これが映画だ!”どこかで聞いたような・・・)、さらにウルトラシリーズ中異色の存在である実相寺昭雄を監督に迎えて期待させるだけさせられ、いざ観に行ったら・・・ガッカリ・・・だった35年以上前の記憶が蘇ります。
一本の映画としての体はどうかというと、正直もうかなりボロボロ。
ストーリーはぶつ切りで流れはガタガタだし、超豪華キャストの多くは顔見せ程度。
実相寺ワールドならではの目を見張るシーンは少なからずあるものの、まるで大河ドラマの年末ダイジェスト版かとてつもなく長尺の予告編でも見た気分。
と言いながら思い出したのがデビッド・リンチ版『デューン』。
あちらもまるでダイジェスト版で見るべきシーンや印象に残る音楽は多々ありながら1本の映画として破綻していた点は同じ。
どちらも大長編小説の一部を映画化しようとして失敗した例と言えるのかもしれません。
どちらも捨てがたい魅力は持っているんですけどね。
実は実相寺が推薦した岸田理生(昔、小説も何冊か読みましたが女性だと初めて知りました)の脚本はもっとドロドロした近親相姦ものだったらしく、プロデューサーは岸田を降ろして当時『夢見るように眠りたい』で注目されていた林海象に豪華キャストの絵巻物のような娯楽映画をオーダーしたんだとか(実相寺はその時点でやる気を失くしたという説も)。
で、できたのが本作です・・・う~ん・・・
配給収入は10億5,000万円だそうですから、意外やギリ赤字は回避。さすがの宣伝力です。
加藤役の嶋田久作は本作が映画デビュー作。面構えが気に入られて声を掛けられた当時は役者を辞めて庭師をしていたんだとか。
特殊美術の池谷仙克、視覚効果の中野稔らウルトラシリーズのスタッフ他、コンテ作画には樋口真嗣の名も。
そういえばほんの一部ですがデザインをギーガーが担当してました。
音楽はクラシック作曲家の石井眞木ですが、実相寺と気が合ったのか『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』(1990年)でも組んでいます。
かなり文句をつけましたが、当時パッケージがお札で封印された限定版LD-BOXまで買っちゃったクチですけどね。