スズランテープ

ポゼッションのスズランテープのレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
5.0
みんな散々「やべぇ映画、やべぇ映画」言うからさーもう多少斜に構えて見ちゃうわけ……なんかあんまり見る前から面白い面白い言われもね………冷めるし、いや見るんだけど、そこまで言うほどじゃ………………

あったわ!いやなんじゃこれ!!!!!!!

茶番はさておき、本当に想像を超えてくる映画だった。開始0秒から異様、異質。音楽も、素晴らしい撮影も、ショットも、セットも、美術も、全てがそこはかとない気持ち悪さに繋がっている。この気持ち悪さの根幹を掴めない感覚が、中盤のとある展開から一気に崩壊し、驚きの物語が生まれていく。

内容は少々複雑で知識がないと理解出来なさそうなモチーフも多そうだが、どんな人でも物語を追える面白さもしっかりとある。

まずはキャラクター。なんというか、ねっとりとしたインパクトの強い個性的なキャラが多い。キャラクターの設定はいい意味でふざけているというか、今作のめちゃくちゃ笑えるコメディに貢献していた。変な武術を使う浮気相手が好きすぎる。

狂気描写も今作のイカれっぷりは纏っているものが違う。ごく少量の笑いと恐怖のブレンド率が絶妙であり、役者の表情がコロコロコロコロコロコロ変わる。複数の感情が一つの表情で浮かび上がる。これがもんのすごい。もんのすごい。

最初の夫婦間の激しい争いから、『相反する二つの要素』が発展していき、大きな映画のテーマとして浮かび上がっていく構成がいい。感情の限界値でぶつかり合いながらも絶対に分かりあうことのできない虚しさを感じた。

不満点をあげるとしたら映画の調子が割と一辺倒なので物語の停滞を感じてしまう場面が少しあった点。ただそれも先述したキャラクターの面白さだったり、撮影などがうまく補っている。

個人的な意見だが、映画全体として好きというよりかは、複数の大好きな描写が繋ぎ合わさって作られた大好きな映画って感じだった。

演技、展開、撮影、音楽、何をとっても伝説的なホラー映画。というか理屈とか言葉ではなく、纏っている空気だけで今までに感じたことのない異質さを感じた『悪魔のいけにえ』現象を久々に感じた。









追記
狂えば狂うほど美しくなるアジャーニ様。サム・ニールはむちゃくちゃキモい。子供がいっちゃんかわいそう。
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