ダニエルがかわいい。
もうそれだけで本作は傑作(単純)。
主演のエリシャ・カスバートは『猟奇的な彼女 in NY』でも主演を務め。彼女の笑顔はズルいね。
それにしても、愛する人がAV女優だったとしたら。
どうしてその「だった」に対し、とても辛い感情を持ってしまうのだろう。アスリートが汗を流すように、彼女ら、彼らもまた汗をかいて仕事をしているだけではないのか?
結婚する以前に複数の恋人とセックスを経験していることだってむしろ自然なことだし、それなのにどうしてそんな過去がどうしようもなく悲しく思えてしまうのだろう。
実際にそれが起こってみたらどうなるかは分からないが、若い頃と大人になってからでは過去に対する考え方は変わると思う。
若い頃の僕なら、愛する人がAV女優でしたと知ったら、「騙された」「信じられない」などと恋人でいられはしなかったと思う。しかし、大人になった今の僕は、愛する人の過去が何であろうと、それだけで別れを選ぶことはないように思う。複雑な思いは持つが、今が大切であり、これからが大切だと思うだろう。
人生に完璧なんてない。
誰もがどこかで失敗をするし、消してしまいたい過去だって存在するものだ。しかし、そんな失敗や消してしまいたい過去を上書きできることがあるとすれば、それはそれらを超えた魅力的な今と未来に恵まれる以外にないと僕は思う。
そんな魅力がダニエルにはある。彼女の今は輝いている。
本作の魅力はダニエルのキュートな笑顔だけではない。何より素晴らしいのは、愛する人を思う人の行動が美しく描かれている点だ。
奨学金選考のスピーチ。オチなんてどうでもいい。きっとラリって本能的に発した言葉が、マシューのダニエルを思う本心だったはずだ。
マシューは時々にこう言う。
「どうでもいい」
そう、愛する人を幸せにすることこそ、この世界で最も大切なことなのだ。