堊

秘密指令(恐怖時代)/秘密指令 The Black Bookの堊のレビュー・感想・評価

4.1
ロベスピエールの処刑までをアンソニー・マン、フィリップ・ヨーダン、ジョン・オルトンなんて錚々たるメンツでやっているB級ノワールの代名詞的な作品。全カットカッコ良すぎてやばい。アンソニー・マン的?な倒れ込む人々、顎を打たれるロベスピエールが血を噴出するのがこの年代の映画にしては珍しい。暗闇を作り出すためならなんでも、と言わんばかりに雷、花火、カメラの前で見せびらかされる刀のきらめき、そして松明を持った主人公による決闘。しかも決着つくところが省略されるという…。ロベスピエールの地下アジトがパン屋ってどういう設定やねん。「群衆は子供だ」と言い放つラストのロベスピエールカッコ良すぎる。ワンピースのドラゴンみたいに雑にでてくるナポレオンさいこ〜。

たとえば『湖中の女』(1974)でのPOVなんかをエロゲ的な能動性と重ね合わせて語られたりするけれど、今作のキスシーンのまるで黒塗りのように顔を塗り潰されてしまう主人公に対しても、観客が没入できる非人称性を出そうとしてるんじゃないか?とか思う。それぐらい演出が極まってる。ジョセフ・H・ルイスだったら車輪とか窓格子を使いまくるところをアンソニーマンは仰角キメたショットで閉塞感と開放感を演出する、人は倒れるし、主人公はマトモな正義の人だし統合失調症だったりとかしない。空間の人。