MikiMickle

ゾンビパークのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ゾンビパーク(2008年製作の映画)
3.0
フラミンゴやノームが飾られているいかにもなトレーラーハウス。
『2000人の狂人』、H・G・ルイス、『吸血鬼ブラキュラ』などを紹介する「恐怖のトレーラーハウス」という安っぽい番組が流れるテレビ。(この時点で、私、ちょっと興奮)
セクシーな女性ノーマは、トレーラーハウスを出ていこうとする。やっとみつけた本当の自分を見てくれる人、アーロンと共に。が、トレーラーハウスが集まるこの集落の住人から嫌がらせをうけ…悲惨な目に…

「誰かがありのままの私を愛してくれるだけでよかった 私はアバズレなんかじゃない 誰か私を救いだして 」と泣き叫ぶノーマの姿に胸が締め付けられる…

そんな彼女の前に現れた一人のカウボーイ。「復讐したくないのか?」という彼(消える蛇などから彼が悪魔である事がわかる)から銃を受け取ったノーマは住人を銃殺 し、トレーラーパークごと、そして己ごと全焼させる… 悪魔へ魂を売り渡し、一生抜け出せない負の世界を浄化して…

というオープニング。

ちょっと、この15分足らずのOPでぐっときてしまいました…アメリカのブルーカラーたち、ホワイトトラッシュの現状を見せつけられるような感じで、切ない……

時が過ぎ、現代。
かなり問題ありな高校生たち。
黒ずくめのブリジットは、いじめっこのアレックスからいん乱だと罵られる。彼女に好意のあるマイケルはオタク。太っちょのティファニーは薬物中毒だ。ジェイソンは万引き常習犯のポ ルノ狂。アレックスの彼女のアンバーは、手に負えない女王様タイプ(ありがちな金髪白人ではないのが珍しい)
彼らは牧師に連れられ、更正キャンプに向かおうとしていた。が、途中で嵐にあい、バスは事故を起こしてしまう。
助けを求めたのは、そう、その焼けただれたはずのトレーラーハウスパークだった。
そして訊ねたハウスにいたのはあの美しいノーマ。

過去にそのような事件があったことも知らない彼らは、そこで一夜を明かす事に。
が、そこで待っていたのは、恐怖の一夜だった…

あれれのれ、これ、ゾンビじゃないやぁ。亡霊? 焼けただれたトレーラーハウスの人たちの亡霊ものだぁ…ありがちなテキトーにゾンビつけたパターンかぁ。ゾンビランドにジャケが酷似しているし、配給会社があの二番煎じを狙ったパクリ邦題パターン。
というか、ゾンビ化した実態のある怨霊の愉快な殺人集団ってところかな。例えるなら、『2000人の狂人』ミーツ『悪魔のいけにえ』のゾンビバージョン‼ 前半から打ってかわって、田舎ホラーなスプラッター化していきます♪ゾンビも一般的な感染系ゾンビではなく、見た目と不死というところ。
『2000人の狂人』にだいぶオマージュを捧げているのでしょう、無くなったはずの集落が蘇り、そこに迷い混んだ人々が「ヒィ~ハァ~♪」な惨劇の一夜の餌食となるのです。ヒィーハァー♪
スプラッター要素は、なかなかのもの♪首もぎとり、マッサージで背骨グワッシャ飛び出し、腕の切り株、腸デロ~ン、素揚げなど、飽きさせません‼
そのトレーラーハウスの奴らも、ビューティーノーマや、ギター弾き、中国人娼婦、薫製屋デブ、更に超FATおばさんなどかなり個性的で、愉快です♪そんな彼らが、べちゃくちゃ喋りながら、あっちで惨殺、こっちで惨殺、そっちではエロマッサージ、はたまたどこそではポルノ撮影と意気揚々とお楽しみになっておられます♪
かなりコミカルな仕上がりになっており、グロさはあるものの、気持ち悪さよりも愉快さが出ています♪が、特殊メイクもちゃちくなく、安っぽさは感じません‼‼しっかりしています♪グロシーンもきちっと満足のいく仕上がり♪ 美しい顔が剥がれ、またそれを修正するノーマなども良いです♪

BGMはもちろんそのギター弾きの歌‼‼ かっこいい(笑) 掲げられる南部旗もまた、『2000人の狂人』をかもしだします♪

そして、やはりこの映画で感じるのは、底辺の人たちの事です。人生につまづいてしまった人々… トレーラーハウスの住人ももちろんそうであるし、高校生たちもです。更に、劇中で語られるノーマのそこでの生活、母親の惨劇、ノーマの不幸……やはり哀しみを感じずにはいられません…
ラストもそうです。きちんと伏線を回収し、ブリジットの気持ちとノーマの真の目的がわかった時、無性に切なさが込み上げてきます。

ヒエラルキーの底辺というものは、自業自得でなるものと、意図せずなるもの、世襲として負ってしまうもの、色々と理由があります。しかし、一回落ちてしまうと、そこから抜け出すのは困難です。それを垣間見たような映画でした。そこへの愛も感じました。こんな内容だけれども(笑)
MikiMickle

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