奈月

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦の奈月のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 名作と名高い作品をやっと鑑賞。笑って、泣いて、泣いた。脚本や時代考証、背景美術が素晴らしかった。間の取り方も絶妙で、ギャグシーンとシリアスシーン(に向けた伏線のシーン)の緩急がちょうど良かった。車バッキバキにぶつけながら庭行くのめちゃくちゃ笑った。
 廉姫がとにかくかっこよかった。襲われても騒がず、常に堂々として先を見据えていて自分の気持ちに忠実で良かった。
 廉姫の前だと照れてしまう又兵衛も、無益な殺生は好まず、敵味方関係なく相手のことを考え、根底に自分の信念を貫いていて、2人は似た者同士だなと思った。
 先陣を進む又兵衛を案じた廉姫が、戦中にもかかわらず櫓まで裸足で駆けて行く姿に泣いた。又兵衛が撃たれて泣き崩れる廉姫の、真っ黒な足の裏が悲しい。
 しんちゃんの、廉ちゃんはおじさんと結婚したかった?という質問に対して顔を赤らめることも無く真っ直ぐ「うん。こんなに人を好きになることはもう二度とないと思う」と答えたシーンが廉姫らしくて素敵だった。逡巡を見せないところはさすが武士の娘だと思った。
 又兵衛の気持ちを知っていたけど、金打したから「廉ちゃんも」と聞かなかったしんちゃんも武士だった。
 しんちゃんと出会った時に又兵衛は撃たれて死ぬべきだったけど、しんちゃん達がきて、小国はおろか大国も侍もなくなる未来を知った殿が相手の打診を断った結果合戦が始まり、野原一家の助けで生き延びた又兵衛は戦帰りに撃ち抜かれる。現代に戻ったら歴史が書き変わっているような平和なラストではなく、不可解な死をもって歴史の帳尻を合わせる、厳しくて残酷なラストだった。でもこの終わり方にすることで何故野原一家がはじめは戻れなかったか、の説明がついていてすごい。野原一家が役目を果たしたことで春日は平和になったし、廉姫が誰にも嫁がなくて良くなった。
 そして廉姫の最初のセリフも、最後のセリフも「おい、青空侍」なのはずるかった……いつか2人が何のしがらみも無い世界で巡り会えますように

好きなセリフ
「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか?!」

「くどい!残れと言うのなら腹を切った方がマシじゃ!」
「お里が泣くぞ」
「あれも武士の女房じゃ。そのくらいの覚悟はできておる」
奈月

奈月