櫻イミト

女子大生・恐怖のサイクリングバカンスの櫻イミトのレビュー・感想・評価

4.0
70年代前半を代表するカルトホラー・ヒロイン、パメラ・フランクリン主演の“女子大生ホラーシリーズ”第一弾。TSUTAYA発掘良品。監督は「魔鬼雨」(1975)のロバート・フュースト。原題「And Soon the Darkness:たちまち闇に」。

イギリスの看護師(看護学生?)ジェーン(パメラ・フランクリン)とキャシーはフランスの田舎へサイクリング・バカンスに訪れたが、他愛もないことで喧嘩し別行動をすることに。一人旅が不安になったジェーンは仲直りしようとキャシーを探し始めるが見つからない。この土地では3年前に女性暴行殺人が発生していた。。。

C級感漂うタイトルを良い意味で裏切る、上質のスリラー・ミステリーだった。プロローグの映像とカット割りから監督の職人気質が伝わってきて姿勢を正し直して鑑賞した。

旅先でヒロインが出会う全ての人物が容疑者に見えてしまう絶妙な作り。国際警察と名乗るイケメンの男、警察との関りを避けるダイナーの夫婦、妙に親切な学校の先生、聴覚を失った警官の父親、遠くからヒロインを観ている帽子の農夫・・・。どの人物も決定的な証拠はないのだが、言葉が通じない見知らぬ土地でのヒロインの不安を観客も背負うことになる。画作りが緻密で気が利いており最後まで破綻は無かった。イギリス産ホラーの折り目正しさも好印象に感じられた。

どこにでもある田舎ロケーションで撮った低予算の映画でも、シナリオと映像演出の力でこれだけ面白いスリラー・ミステリーが作れるという手本のような一本。主演パメラ・フランクリンの好感度の高いキャラクターも大きな柱になっていた。
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