ちろる

マザーウォーターのちろるのレビュー・感想・評価

マザーウォーター(2010年製作の映画)
3.8
これを観たらきっと誰もが豆腐をまるでデザートのプリンみたいにして食べてみたくなるし、鴨川の川縁にあるおひとり椅子に腰掛けてお昼寝したくなるはず。
京都が舞台ではあるけれど、ありそうでなさそうな、リアルと御伽噺の中間にいる感じが個人的には大好きだ。

そして何よりもこのマザーウォーターっていうタイトルがとても美しくていい。
女性は(時には男性も)なにかしらのマザーの部分を持ち、そのサラサラして水が流れるこの町のように。透明感のあるシンプルな愛情がこの物語には流れていて、謎の赤ちゃんポプラを沢山の母性で繋ぐように包んでいるのにも、全く違和感がなくてひたすら優かった。
豆腐屋、喫茶店、銭湯、カウンターバーそれぞれを経営する男女がなんとなく付かず離れずな距離感で同じ町に共存して、そのだれもが「おひとりさま」で、ポプラの事もだれも詮索しない、優しくてゆるい空気感が彼らに心地よい居場所を与えていて、わたしも架空のこの町にトリップしたいとこころから思っていた。
小泉今日子がキャスト陣に加わっていたけれど、思った以上に割としっくりとハマって小林聡美、もたいまさこ、市川実日子らに溶け込んでいたし、それが何故だかとてめ嬉しかった。
例の件でしばらく休業されてるキョンキョンですが、早くまたこんな感じの優しい作品に溶け込んで欲しい。
ちろる

ちろる