ベトナム帰還兵が生活に行き詰まり精神的に追い詰められていくという話で、内容的には『タクシードライバー』と『イレイザーヘッド』を足して２で割ったような感じである。もちろんスコセッシやリンチのような映像センスは望むべくもなく、シーンのつなぎも雑だしストーリーも不安定でおぼつかない。だけどこの映画に関してはそのつくりの粗さみたいなものが味になっているというか、映像にシャープな切れ味がない分、錆びた鉈でドスドス叩かれるような厭な痛みを感じる映像なっている。
特に印象深いのが、仕事も見つからず追い詰められた主人公がケンカ別れした父親に援助を求める電話をするが、父親は資産も健康も失っており何の手助けもできないことを告げられる場面。主人公が唯一残っていたプライドを捨てたにもかかわらず何も得られないという、あまりにドライな突き放しかたに気持ちが沈んだ。
