エクストリームマン

ゼーガペイン ADPのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ゼーガペイン ADP(2016年製作の映画)
3.0
消されるな、この想い 忘れるな、我が痛み

※以下ネタバレあり

サンライズのオリジナル作品10周年記念企画で、スクライドに続いて総集編化の打診があったところで、今回のような形で映像化したそうな。まぁ、スクライドと同じ形で映像化されたとしたら、かなり辛いものがあったに違いない。

本作からゼーガを観賞することも可能……という風に喧伝されているし、実際にエピソードゼロ的な話なのだからそれも間違いではないのかもしれないけど、世間のエピソードゼロ/前日譚がそこから観始めて面白かったり分かり易かったりしないのと同程度に本作もTVシリーズ本編を視聴していなければ理解できない/意味がわからないシーンやセリフも多いので、やっぱり純然たるファンムービーである。まぁ本作をきっかけにTVシリーズを観て、また戻って本作を観賞する、というのもアリなのかもしれないが。

ループを前提とした世界観を逆手に取って、TVシリーズ本編の映像を流用しつつ、セリフと芝居で話を変えていくマッシュアップ的な作り方で前日譚を語るところはなかなかアクロバティック。そこに新キャラを多数投入して、かつTVシリーズ内でのエピソードを補完するような展開も多数入れ込んで……ということで、必然的に情報量が膨大で、取るべき“間”が殆どない、全体的に非常にアップテンポな作品になっている。TVシリーズ本編では言及されども画面に登場することのなかったキャラクター達が今回は多数出ているものの、彼らは定められた未来=TVシリーズ本編に向かって滅びゆく者達なので、本作内で斃れていくことは必定なのだけど、その散り様すら巻きで、アッサリと、という場合が殆どで、仕方がないものの残念さが残る結果ではあった。

カノウトオル、コハクラナツミ、ツムラサチコをはじめとして、オケアノス級の艦と艦長が新たに多数出てきたほか、ルーパという新AI、ガルズオルム側も復元者:ネーヴァ/ヴァボル、ナフシャ等登場し、新たなTVシリーズ1クール分くらいの新キャラが出ていたのだなと観終わってから気がついた。更にゼーガはジャターユ、敵機ではザダラゥが新規だ。

内容は、早足なことを除けば概ね満足で、ファフナーの『RIGHT OF LEFT』と立ち位置は同じかなと。カミナギが垣間見る未来の記憶は、量子コンピュータの世界だからこそのヴィジョンなのかなとか、舞浜サーバに介入の痕跡があるとか、ルーパとか、新たな謎も用意されているので、続編がまたあるのなら楽しみに待ちたい。