エクストリームマン

プレイタイムのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
4.3
フランス風のバスター・キートンというかチャップリンというか、その辺やるのかなと思わせるはじまりから、手触りも温度も違う世界を巡って狂騒の“ロイヤルガーデン”へ。ジャック・タチの凄みを存分に味わえる。

直線で分断された冷たい色の世界でも、壁も天井も崩れていくロイヤルガーデンでも、ジャック・タチ演じるユロ氏はあくまで受動的に流されていく。しかし、その立ち位置は観客が映画にライドするための器として機能するわけでもなくて、ユロ氏と他のキャラクターの間に立ち現れる空気感や関係性こそ表現したいものなのかなと思う。ユロ氏と同じ経験を観客がするのではなく、あくまで客体として映画に登場するユロ氏を媒介として映画世界を把握することが、変転し解体されていく線と温度と観客とを接近させている。