映画漬廃人伊波興一

囚われの女の映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
3.4
遺作でこれまでにない試みに挑んだクルーゾー。とても貴重な映画だと思います。

アンリ=ジョルジュ•クルーゾー
『囚われの女』

マイナー過ぎてそのままでは歴史に埋没してしまう作品を掘り起こすのは批評家の大切な役目だと思いますが、同時に大作、名作を手掛けた事で(巨匠)になってしまった作家に背後から照射するように大作、名作の陰に埋もれてしまいがちな(巨匠)の無名作品を未知の瞳に訴えていく事も大切な役目だと思います。

その意味で今年、町山智浩さんが映画専門チャンネルで挙げてくださった
エリア•カザン
『突然の訪問者』
ルネ•クレマン
『狼は天使の匂い』
マイケル•パウエル
『血を吸うカメラ』
そして
アンリ=ジョルジュ•クルーゾー
『囚われの女』
は間違いなく快挙です。
巨匠たちご本人からすれば『エデンの東』よりも『太陽がいっぱい』よりも『黒水仙』よりも『恐怖の報酬』なんかよりも(こちらを観ろよ!)と言わんばかりの声が聞こえてきます。
何故なら(巨匠)はいつの時代も代表作は(次回作)だ、と信じているからです。