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囚われの女のKAKIPのレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
4.3
記録用
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督作品。

現代芸術家の妻が夫の展覧会でディーラーの男性に出会いSMの世界に誘惑されるが、、、。

まず最初の場面から異様だ。バービー人形で人形遊びを興じる男性。
そしてその男がのちに展覧会でディーラーであることがわかる。
この男は男性機能が不能でありSMプレイを行い女性を人形のようにセットしてカメラで撮影することで自らを満たす。
監督自身の映画撮影を投影しており映画をフェティッシュに自らの欲望を満たす一面を表している。

そしてもう一人の現代芸術家が登場する。先程のディーラーと自身の妻との三角関係でこちらは芸術を愛し芸術がポップアートとして商業として消費されることへ嫌悪感を示す。
こちらは戦前から映画芸術から撮影し巨匠として名声を高め芸術が消費される当時の業界への批判的な一面が投影されている。

そして妻であるがどちらの男性にも揺れ動く。妻は女優、ファムファタール、被写体、作品の内包するもの、映画への愛などメタファーであると考えられるがディーラーへ「愛がなければ変態だ!」と突き放すが。

なんやかんやでこちらを選択してしまうことでこの作品で引退したクルーゾー監督のパーソナルなテーマを作品にしたことがわかる。
巨匠は終盤になるとこのような個人的な問題を映画にすることが多いがこの作品もその一つなのだろう。

60年代のサイケでポップなアートの数々とフリーセックス文化というこの時代の象徴を絡めた興味深い引退作です。
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