爆裂BOX

ディーモン/悪魔の受精卵/神が殺せと云ったの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
大都会ニューヨーク。「神のお告げ」による殺人事件が続発。事件の担当となった刑事ピーターは単身捜査を開始。やがて、彼の前に処女懐妊によりこの世に生を受けたという謎の男の存在が浮かび上がり…というストーリー。
「悪魔の赤ちゃん」や「セルラー」のラリー・コーエン監督によるSFホラー。
ストーリーは前半は「神のお告げ」を理由にした無差別殺人が続発し、主人公の刑事がそれに関わる処女懐胎によって誕生した男を追うサスペンス調ですが、中盤からは徐々にトンデモ展開になっていきます。「フォーガットン」と似た感じですね。
最初の白昼の街での無差別狙撃シーンは中々の迫力でした。普通に歩いてる人が銃声と共にもんどりうって倒れて、周囲の人はかけよったり逃げ出したりとパニックになっていく所もゲリラ的に撮影してるのも臨場感と迫力出してました。その後、犯人が説得しに来た主人公と穏やかに会話して飛び降りる所も衝撃的。その後のパレードでの発砲シーンも迫力あります。
犯人たちが穏やかで笑顔浮かべながら「神のお告げでやった」、「彼の役に立てた」と語る所も地味に不気味。また、それを利用して、同僚の刑事と裏で取引してた売人が殺人犯して一連の犯行と同じと見せかける所もリアルに感じました。
事件に関わり「神」と崇められる謎の男フィリップの登場シーンでは全体的に黄色に近いオレンジがかった映像で雰囲気があります。クライマックスで服を捲りあげた時にあんな所にあんな物がついてるのには驚きました。
○○○の中に拉致された女性が受精するシーンも黄色いライティングが効果的で何とも言えない雰囲気です。
謎を追う内に主人公の出生の秘密にも行き当たる展開は予想できましたが中々衝撃的でした。その後の同僚を殺した男が居るバーで主人公が覚醒するシーンは主人公の目にライトをあてる簡単な演出が効果的で中々不気味な迫力がありました。主人公、妻と別居中にメガネ美人な教師と不倫してたりクソ野郎だなと思ったけど、どこかで本能的に自分はここの人間じゃないと感じてたから子供を持つことを恐れたり、誰かを深く愛することできなかったのかな。
主人公と対峙て新たな人類を作ろうと誘惑したフィリップが結構アッサリやられるのは主人公が優勢種だからか。そこからのラストの崩壊シーンは結構迫力あります。
主人公の顔アップで終わるラストは不気味な余韻が残って好きです。彼は大人しく精神病院で過ごすのか、それとも…
アメリカでは公開時にキリスト教関係者が抗議運動したのも頷けます。「イエスは○○○だった!」というのはヤバすぎますからね。てか、よく公開許されたなぁ、と思います。こういう方法での侵略というのも面白いですね「光る眼」とアイディアは似てるけど。
奇抜なアイディアと宗教を絡めた深いストーリーと、テンポ良く進む展開で中々の良作ではないでしょうか。
発売されているDVDの画質は最悪ですが、それでも一見の価値はあると思います。