ぜろみおん

墓地裏の家のぜろみおんのレビュー・感想・評価

墓地裏の家(1981年製作の映画)
3.0
フルチ監督の一風変わったゾンビ映画(ゾンビ映画にカテゴライズしていいのか)
ビヨンドと同じ81年公開。
墓地のすぐ側に建つ、いかにも縁起の悪そうな家へ、亡くなった友人の研究を引き継ぐために越して来た一家。
不気味な出来事が続き不穏な空気を感じる中、閉ざされた地下室へのドアを無理矢理開けてしまった事により、次々と地下室へ足を踏み入れた人間が惨殺されていくという内容。

地獄の門やサンゲリア、ビヨンドという名作を立て続けに制作したフルチ作品にしては、少しパワーダウンしたというか、脚本の問題なのか迷走している感じのある今作。監督と脚本の製作陣が各々やりたい事をやろうとして噛み合わなかったのかな、とか勘ぐっちゃうくらい設定や伏線はアヤフヤなものとなっている。

けれどもフルチ作品だけあって、前作までに比べスプラッター描写は大人しくなってるにも関わらず、見せ方は上手いので物語は深く考えずとも映像だけで80年代ホラーが好きな人には充分に楽しめる映画なのではないだろうか。

地下室に潜むゾンビ化した不死の殺人鬼、フロストシュタイン博士の造形も面白いし、なによりゾンビなのに人間を刃物等で惨殺するというのも一風変わっていて、いいと思う。
(殺害した人間の死体を利用して無限に生きているという設定なので、身体ん中が蛆虫でパンパンってのも面白い。そんな身体であの怪力はどーいう事だよとツッコミ入れたけど)

映画中盤までは冒頭のシーンと、やたら生命力が高いコウモリとの死闘(とても笑った)くらいしか盛り上がる場面はないが、サスペンス映画のように不気味さで煽ってくれるので意外とダレない。
終盤は勢いだけで突っ走って、ポカーンとなるオチで締められるので迷作評価もされているそうな。わからなくもない。
なんだお前らいきなり ってなったもの。

メインテーマが非常にカッコよく、どことなく悪魔城ドラキュラを思い出した。
たまに聴きたくなりそう。

「早くドアを開けて!怖いよ!」
「落ち着いて、分かってるわ(モタモタ)」