拘泥

少林寺秘棍房の拘泥のレビュー・感想・評価

少林寺秘棍房(1983年製作の映画)
4.7
功夫映画文化という広大な海のリゾート地数点しか知らないこんな俗物が、観賞後ただ立ちすくみ震えている事実に、恐らくこれは真の功夫映画であり、全き海という母なのだろうという予感を得た。最近観る映画が大体面白すぎて嬉しい。

初っ端から実写版銀魂ぐらい死んだ背景ながら尋常じゃない熱を誇る殺陣によって表される、数とクズの理不尽に切り裂かれる義。だが義の連鎖は微かな光を繋ぎ続け、全てを失った五男坊は猛る想いを少しずつ犠牲と共に戒律に鎮め続けた。
しかしィ!!漢には立ち上がらなければならぬ時が当然あるよなぁ!?
頭を上げれば仏の光、頭を下げれば親の顔。自らを救い育ててくれた両者を同時に敬いながらも、信念のための主持との激闘はまさに親殺し。戒律の破壊を、成長を極めた脱皮として象徴して見せる。途中の妹が名乗りをあげた時の、お嬢様、前後の速さ爆笑。
そしてぇ!!!その激闘の最中に描かれた陰陽図が森羅万象であることがこのアンヴィバレンスを高らかに送りだし、驚異のアウフヘーベンによって義の連鎖が遂に解き放たれる最後の乱戦たるやぁぁぁあぉぉぉあぉあ!!!!
ヤバ過ぎる。歯が抜ける。この乱戦が功夫映画の当たり前なら功夫映画ファンは常に心臓が2倍の速度で血を送り四十そこらで死ぬんではないのか。流石に功夫史上最高傑作の一つらしくて安心した。
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