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日本の悲劇の大大のレビュー・感想・評価

日本の悲劇(1953年製作の映画)
4.2
多発する犯罪、政治の汚職、権力への不信感、食糧不足といった戦後の混乱のなか、温泉街の旅館で女中をしている主人公。

医大生の息子と、独身の娘が幼い頃に夫を亡くしてから、二人の子供だけを生きがいにどうにか暮らしてきた。




以下ネタバレ気味




親戚のもとで冷遇されながら幼少期を過ごしてきた子供二人は、母親に愛想を尽かし、貧困から抜け出すべく独立の道を模索していた。

そして、男を相手に手段を選ばない仕事をする母親に対して嫌悪感を抱いていた。

息子は、医者夫婦の養子になることを決意するが、主人公は真っ向から反対し、溝が深まる。

娘は、英語や裁縫の技術を学んでいたが、
英語塾の教師から求愛され、本妻から嫌がらせを受けまくる。

親戚のところにいた時分に、親戚の息子から辱められた過去を持つ娘は、男に対する不信感と復讐心から、わざと教師夫婦を衝突させる振る舞いをする。

本妻への嫌悪感、男への不信感、母親と大差のない不貞を犯す葛藤を抱きつつも、教師と駆け落ちを決意する。

主人公は、男にそそのかされて失敗した投資話の借金穴埋めで娘の下宿先を訪れるが、もぬけの殻だったため、息子のもとを訪れる。

そこで、実の親子ではあっても決別せざるを得ないことを知る。

絶望した主人公は、帰りの駅で鉄道に身を投げる。
家族ではない、職場の若者たちだけが主人公に想いを馳せる。
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