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プレイタイムのSのレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
5.0
近未来のパリが設定のタチ流モダニズム。

ストーリーはお馴染みのタチ扮するユロ伯父さんが行く先でドタバタコメディを繰り広げる。タチが晩年自らの集大成として巨額の制作費を投じたこの作品。ガラスの超高層ビルや空港、博覧会場、アパートなどの街をまるごと巨大なセットで作っている。

静かな熱狂とでも言うべきか…。
全てがとてもお洒落で洗練された世界。
これが1967年作とは…その完璧ぶりに脱帽。
無機質な建物、人々のファッションやインテリアなど細部に至る徹底ぶりにタチの映画へのそこはかとない情熱を感じ、ある意味狂気すら覚える程。ほぼ核となるストーリーは無くセリフもあまり無いが、お得意の前のめりで歩くユロ伯父さんの姿を観るだけでも、クスクスと静かな笑いが止まらない。画面の隅々までユーモアが凝らしてありなぜか目で追い続けてしまう。画面に次から次へと人々が入れ替わり立ち替わりする様はまるで人間版メリーゴーランドの様。終焉に向かいドタバタぶりが狂想曲の如く加熱し、白眉のナイトクラブのシーンに至ってはまるでオモチャ箱をひっくり返した様な楽しさ。観るたびに新たな発見がありそうで何度でも観たい。
この作品にもっと早く出会いたかった。

2018/01/06 シネフィルWOWOW
2018年 6本目
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