イチロヲ

北国の帝王のイチロヲのレビュー・感想・評価

北国の帝王(1973年製作の映画)
4.5
長距離鉄道の無賃乗車を常習している浮浪者(リー・マーヴィン)が、百戦錬磨の鉄道員(アーネスト・ボーグナイン)に宣戦布告する。1933年の不況時代を背景にして、タダ乗り犯と鉄道員の熾烈な闘いを描いている、アクション大作。

「男同志の闘いに女はいらない」を清々しいほどに具象化させている、ヒロイン不在のアクション映画。本物の蒸気機関車と雄大なランドスケープが映えており、牧歌的なサウンド・トラックが印象に残る。

浮浪者と鉄道員が喧嘩するだけの話なのだが、浮浪者界と鉄道業界のレジェンド同士が対決するという設定なので、「何故、ふたりは闘い続けるのか?」という真理を汲み取りながら鑑賞するスタイルが、大いに盛り上がる。

浮浪者と青年(キース・キャラダイン)のシークエンスでは、世代交代の成否を絡めた、「漢」の精神性が提示される。機関車を「動く巌流島」に置き換えると、(最後の勝ち名乗りを含めて)プロレス的見地が捗ること請け合い。プロレス好きは迷わず観るべし。
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