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ベルモンドの怪盗二十面相のodyssのレビュー・感想・評価

ベルモンドの怪盗二十面相(1975年製作の映画)
3.3
【オドレイ・トトゥの先輩が登場】

1975年のフランス映画。原題は" L'incorrigible"、つまり矯正不可能、ということでしょう。何が矯正不可能化というと、たぶん主人公の性格なんでしょうね。

この映画は泥棒(ジャン=ポール・ベルモンド)が刑務所から出てくるところから始まります。それ以前に彼が何をやらかしていたのか、あまり説明らしいものがありません。もしこの映画が何かの続編でないとすれば、いちおう原作はあるようではありますが、私が思ったのは有名なルブランのルパンもの第一作『ルパンの逮捕』を意識して作られたのでは、ということでした。あの小説も、ルパンが最初から有名な怪盗として登場するからです。

しかしこの映画の主人公は、刑務所から出所後、色々なところに登場しては色々な人物と色々な交渉をし、まさに八面六臂の大活躍、というか、いたるところにちょっかいを出しては引っ込むという動作を繰り返しています。日本なら、さしずめ植木等がやりそうな役どころです。ドタバタ喜劇、という言い方もできるかな。

しかし刑務所から出所したばかりの身で、観察保護司がやってくる。これが若い女性。法学博士ながらチャーミングな彼女に主人公はほれ込んでしまう。彼女は育ちがよく、親は美術館をやっており、そこに貴重な絵が所蔵されている。そこで仲間から・・・・というふうに話は進みます。

ヒロインを演じるジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドは、カナダのフランス系女優のようですが、私はこの映画で初めてお目にかかりました。欧米人というより、鼻があまり高くなくて東洋系に近い印象です。誰かに似てるな、と思って考えてみたら、『アメリ』のオドレイ・トトゥに似てるんですね。フランス系女優にはこういうタイプが時々いるようです。

映画全体の印象としては、最初は説明抜きで話が進むしまとまりがない感じでしたが、後半はそれなりに面白くなって、まあまあというところでしょうか。起承転結はそれなりについている作品です。
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