イチロヲ

風に濡れた女のイチロヲのレビュー・感想・評価

風に濡れた女(2016年製作の映画)
4.0
世捨て人となった元劇作家の男性(永岡佑)が、開放的な性意識をもつ娘(間宮夕貴)に遭遇する。若い娘から「生きるための糧」を諭される過程を描いている、日活ロマンポルノ・リブート企画。

塩田監督が大和屋竺の直弟子であり、なおかつ神代辰巳を師事しているため、初期ロマンポルノのフリーダムな作風が完コピされている。永岡佑は70年安保直後のシラケ世代、間宮夕貴はウーマンリブの象徴である田中真理と重ね合わせることができる。

性の伝道師となった娘が、逡巡している主人公に対して「生きていることを実感するための行為としてのセックス」を暗示させていく。演劇調のシークエンスが若干ながらノイズだが、俳優諸氏のフィジカルな芝居が面白い。

奇策縦横なドラマ展開と情熱的かつ動物的なセックス描写にエッセンスが凝縮されている。日活ロマンポルノは、ロマンとポルノを組み合わせた「映画」であることを、あらためて痛感させられる。
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