昼行灯

黒蜥蜴の昼行灯のレビュー・感想・評価

黒蜥蜴(1968年製作の映画)
3.7
唐突の三島由紀夫おもろすぎる。なぜお前が、出たいだけだろうと突っ込まずには居られない。三島由紀夫の肉体美への自己愛が有名すぎて、そのエピソードを引用する物語はギャグにしかなってない。主人公が美輪明宏のオーラに負けて印象薄くなってしまってるので、三島由紀夫が明智小五郎でも良かったんじゃないかと思う(暴論)

「本当のわたしなんかどこにもないものね」という黒蜥蜴の言葉には、精神分析における女性の本質は不在をヴェールで覆うことによって何かあるように見せるということが体現されているように思えた。そう言う黒蜥蜴は、鏡に映った自分を見ており、そこには男装した黒蜥蜴がいる。だが、美輪明宏のスター性により、黒蜥蜴が異性装をしているのかいなかは判別できない。ここで美輪明宏は性の不確実性、また行為遂行性を代理表象している。

また、作中でところどころ出てくるビアズリーによるサロメもまた印象深い。愛するものの命を奪うというサロメの物語が示唆的なことはもちろん、このサロメの絵がビアズリーによるものだと言う点がとても重要。このサロメの絵はオスカーワイルドの小説の挿絵であり、その小説に出てくるサロメは同性愛者であったワイルドの自意識が投影されていると言われている。その意図を汲み取ったのか、ビアズリーによる挿絵も、サロメとヨカナーン共に性別が不分別のような印象。それは性の境界を撹乱する美輪明宏の様態さえも象徴的に示しているように思える。

サイケなゴーゴー喫茶シーンがあって良かった。色がみだらに渦巻いている最高空間🫰行ってみたい
お嬢様の下半身から上半身をなめるように動くカメラと、静的ショットで撮られることの多い美輪明宏、この違いも結構重要そう
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