爆裂BOX

カニング・キラー 殺戮の沼の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
国連軍の女性を殺した巨大な爬虫類の捜索・捕獲に同行したTV局プロデューサーのティムとリポーターのアビバとカメラマンのスティーヴ。彼らはブルンジ共和国に向うが…というストーリー。
ブルンジのタンガーニカ湖とルシジ川で300人以上の犠牲者を出したと言われる巨大ワニギュスターブ(本作ではグスタブ)を題材にしたアニマルパニック作品です。巨大人食いワニが実在するという部分が事実に基づいていて、この映画自体はフィクションです。
主人公のティムは報道部のプロデューサーですが、仕事で失敗して汚名返上の為人食いワニの捕獲に同行することに。しかし現地でシャーマンがリトルグスタブと呼ばれる独裁者とその手下の民兵に殺される現場を偶々カメラマンのスティーブが撮影したため命を狙われる羽目になり、更にグスタブも襲い掛かってくるという内容です。
グスタブはCGで描かれていますが、そのクオリティは高くてテントを破壊したり、桟橋破壊しながら追い掛けて来たり、水中から顔突き出して人間バリバリ嚙み砕いたり、とその暴れっぷりは迫力あって見応えあります。特に終盤近くで陸上で凄いスピードで人間を走って追い掛けてきて、木の股に挟まりながらも喰らいつこうとしてくるシーンはかなり迫力ありました。終盤で車の後部破壊しながら車内に頭突っ込んでくるシーンも迫力あった。
虐殺行為を撮影されて、テープと命狙う民兵達も襲い掛かって来て、AK47やロケットランチャーぶっ放しながら襲い掛かってくる所はちょっと「バイオハザード5」彷彿した。彼らから必死に主人公達が逃げ回るシーンも緊迫感ありましたが、この民兵達から逃げ回るシーンの方が多くて、グスタブの襲撃や暴れ回るシーンが少ないのはちょっと残念ですね。VFXも美麗で迫力あるだけに。グスタブが民兵達を襲って結果的に主人公達の危機救ったりダークヒーローっぽい立ち位置な所あるのは面白い。
ドミニク・パーセル演じる主人公ティムは悪気なく嫌な事いったりするけど、水中で意識失ったジョジョ必死に助けに行ったり優しい所ある根っから嫌な奴ではない所良かったな。ヒロインはグスタブのエサとして筏に繋がれた犬勝手に助けたり(まあ、可哀想だと分かるけど)虐殺撮影したカメラマンに「ただ黙ってみてたの!?」と言ったり脳内お花畑な言動はちょっとイラっとさせられた。そんな事いってられる場所じゃないだろうに。オーランド・ジョーンズ演じるカメラマンはコメディリリーフ的な立ち位置で一番キャラ立ってたな。生まれも育ちもニューヨーカーだから、蛇に威嚇されてヒルに吸い付かれて「アフリカなんて大嫌いだ!」と叫ぶ所はちょっと笑った。面白黒人キャラなだけに最後の展開はかなりびっくりした。アメリカに憧れる現地の少年ジョジョは、意外と戦闘でも活躍してましたね。グスタブに敵愾心抱く現地ガイド役のユルゲン・プロフノウはちょっと勿体ない使い方だったな。
マチェーテで斬首したり、噛み砕かれる頭部など割とグロい描写あります。
テープを巡っての議論で「遠いアフリカの地で黒人が何人殺されても大したニュースにならない」というセリフや、グスタブが巨大化し人喰うようになった理由等結構社会派の側面が強い所もありますね。
本編では9mとなってますが、実際のギュスターブは6mくらいの大きさのようですね。それでもナイルワニとしては十分大きいけど。2008年目撃証言絶えていたのが2015年に水牛喰う所目撃されて生存確認されたようですが、流石にもう死んでるだろうな。
予算も多めで結構クオリティも高く楽しめるワニ映画だと思います。