カラン

八甲田山のカランのレビュー・感想・評価

八甲田山(1977年製作の映画)
3.5
1901年、日露戦争を前に日本軍は準備に余念がない。極寒での戦闘経験が浅く、もし津軽海峡や陸奥湾をロシア軍の艦隊に囲まれて艦砲射撃を受けた場合に補給線も断たれてしまう。冬の八甲田に調査部隊を送り、兵の寒冷地での練度を上げるのとともに、現地のルートが利用可能かどうかを調査するとなり、弘前と青森の部隊から極寒の山の中に兵隊が派遣されることになった。。。


『踊る大捜査線』や『シンゴジラ』の元ネタなのだろうか、上層部の馬鹿な注文に現場が翻弄されるのだが、公開当時サラリーマンに受けたというのも納得の橋本忍の脚本。日本映画史に残る収益を上げたそうな。20億を超えるのは当時初なのだそうである。

高倉健を始め、錚々たる役者が揃う。大滝秀治(大役人)と三国連太郎(小役人)のタヌキぶりに心をうたれる。秋吉久美子がめちゃくちゃ若く、あまりに可愛いので、別れ際に健さんが「こうべー右!」と皆でびしっと敬礼すると、何度も振り返って笑顔をみせるところは、一緒にこうべ右したくなる。雪中行軍の前に、北大路欣也が高倉健の家を訪ねて、食事をする。高倉健が唄うのはすごくいいが、もうちょっと鈴木清順みたくさ、ぐつぐつ煮える鍋の音とか蒟蒻ちぎってみたりとか、なんかね、つまらない食事のシーンだなと。やっぱ湯気くらい映さないとね。

木村大作がカメラを構える。堂々としているが、ちょっと飽きる。4Kリマスターの監修を木村大作が敢行したそうである。どっしりとした映写になるべく、ゆれやぐらつきのなさは立派。何より色がしっかりしている。人の肌は濃すぎるか?

音楽の芥川也寸志は普通で、良いと思う。『野火』の映像が見えない音楽ではない。音質も悪くない。リマスターされたサウンドは4.0ch。普段、低音をサブウーファーに頼っている人は注意したい。風の低音が大量に入っている。ゴーゴー、ずっと鳴ってる。


Blu-rayで視聴。
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