タマル

八甲田山のタマルのレビュー・感想・評価

八甲田山(1977年製作の映画)
3.3
ゆき〜の進軍 こ〜おりを踏んで
ど〜こが河やら 道さへ知れず〜↓う↑
……季節感ねぇな。

以下、レビュー。


おい、それ八甲田山状態じゃねえか!
みたいなことをたまに言います。

これ私が勝手に作った言葉で
「極限の緊張状態が切れ目なく続いて逆に弛緩してしまう様子」
を指します。
この映画においては約2時間緊張状態が続きますが、長くても40分で“HSJ”に陥ります。

まあ、私も大人ですから?
初見時のように途中で寝てしまうことはありませんでしたね。
まぁ、後半からは柔軟体操を差し込むペースが多くなりましたけど。
そもそもこのストーリーで映画を撮る以上はしょうがないんでしょうが、緩急あっての作劇ですからもう少し焦点を絞ってタイトにまとめて欲しかったのですが……。どうしたって3時間は長いです。

しかし、“HSJ”とは不快を示す代名詞ではないということにも言及しておきたいと思います。
確かに退屈は退屈です。
ですが、どれほど退屈であろうとも、作り手の狙い通りに「自然」の持つ絵のパワーに惹きつけられてしまうという面があるのも事実です。
こればっかりじゃ困るけど20本に1本ぐらいのペースなら独特の味わいを楽しめるのではないでしょうか?
オススメです。


せっかくDVDで借りたので特典映像の情報も少し。

[政策についての豆知識]
企画を通す際、以下の様な問題点が指摘されていた。

①吹雪では絵が分かりづらい
②明治モノはウケない
③ドラマ性が不足している
④色彩が単調である

これらの問題に対して以下の様な解答をだしたと橋本忍氏は語る。

①撮ってみたら意外といけた
②根拠のない神話である
③原作は十分にドラマである
④回想で四季のカットを入れた

かくして、『八甲田山』の製作が開始されたのだった。

しかし、完成したものを観た後世の私としては、②はともかく①③④の問題点は危惧した通りの結果になってしまっている様に感じました。
橋本氏の解答の成果についての是非はご自分で確かめてみて下さい。
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