ブラックユーモアホフマン

ストレンジャー/謎のストレンジャーのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.7
面白い!

Netflixで配信が終わる寸前に。

『市民ケーン』以外観たことなかったオーソン・ウェルズ監督作。面白くないわけないと思いながら。

ナチの残党が身分を偽ってある田舎町に腰を据えており、土地の有力者である判事の娘と結婚する。
ある男が彼の居場所を突き止めようと戦時中、彼の側近だった男をあえて逃がして尾行し、自らも正体を隠してその町に足を踏み入れる。
二人のストレンジャーには“時計修理が趣味”であるという共通点があった……。

刑事コロンボ、古畑任三郎的なストーリー。探偵がいて、犯人はもう分かっていて、捜査して追い詰めていく。

2年後の映画だけどフレッド・ジンネマン監督の『暴力行為』をちょっと思い出したりした。

『市民ケーン』に続いて、映写機が登場。記録フィルムが投影される。フィクションの中に歪な真実味を内在させる。

恐らくレストアされていて映像が綺麗だということもあるけど、1946年の映画とは思えない。
脚本然り、カメラワーク然り、編集然り、たぶん同時代の作品のずっと先を行ってる。60年代の映画だと言われても納得するかも。

この時代の映画って勝手なイメージだけど、脚本とかカメラワークがまだ粗いな、雑だな、と思うことが多い気がするんだけど、これは今の感覚で観てもそう思わなかった。積み重ねが理知的で丁寧で引っかかるところがない。

ところで、オーソン・ウェルズって誰かに似てるな。誰だろう。

【一番好きなシーン】
時計台がついに直るシーン。