爆裂BOX

デフロストの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

デフロスト(2009年製作の映画)
3.7
環境学者クルーペン博士ら一行は北極で調査を行っていた。遅れて到着した博士の娘エヴリンと3人の大学生らも調査に合流するが、研究施設は無人で北極熊の死体が転がっていて…というストーリー。
温暖化の影響で溶けた氷の下からマンモスに寄生していた寄生虫が復活するヴァル・キルマー出演のパニック映画。
クルーペン博士らが発掘した氷漬けのマンモスに寄生していた古代の殺人寄生虫が蘇り、調査に来たエヴリンら学生達は次々寄生されていき、更にクルーペン博士は環境汚染を止めない愚かな人類にある計画を立てるという内容です。
Xファイルのファーストシーズンの「氷」というエピソードを長編化したようなストーリーですが(スモーキングマン役のウィリアム・B・ディヴィスが冒頭にちょっとだけ出演してるので意識してるんじゃないかな?)、あちらのように宿主を狂暴化させる等といったことはなく、寄生されると具合が悪くなって嘔吐し、死に至るというものです。寄生虫はエビとゴキブリ、またはハサミムシと紙魚を合体させたような造形で、カサカサと壁や天井を這い回ったり人間の体に潜り込む所は非常に気色悪いです。
積極的に襲ってくるわけではないので全体的に地味ですし、最初はベースキャンプにいるクルーペン博士達と研究施設にいるエブリンらとの状況を目まぐるしくザッピングするので状況が掴みづらいですが、話の焦点がエヴリンに当たってからは、閉塞空間で様々な感情や思惑を持った登場人物達が繰り広げる人間ドラマは結構な緊張感をもたらしてくれます。
クルーペン博士を演じるヴァル・キルマーは序盤と終盤のみの登場ですが、終盤で娘の危機救って味方かと思わせてからの行動はちょっと意外でした。まあ、過激な環境テロリストめいたところあるのは示唆されてたけど…主人公は娘のエヴリンの方ですね。エヴリンと協力して事態に対処しようとする学生アトム役のアーロン・アシュモアはショーン・アシュモアの双子のお兄ちゃんなんですね。
腕切断などのグロシーンもありますが、個人的には寄生虫に覆われたシロクマのシーンが一番ゾクッとさせられました。蟲嫌いな人は要注意です。また、顔の傷口や閉じた瞼の下からひょっこり寄生虫が顔出すシーンや体に潜り込もうとする寄生虫を引っ張り出すシーンや包帯めくってみたら傷口に卵がびっしり産みつけられてるシーンなど生理的嫌悪感刺激するグロ描写タップリですね。
終盤で博士の企みを止める為エヴリンがとる行動は、人類の危機を救う為とはいえ過激で似た者親子なんだなと思いました(笑)ヘリのパイロット可哀想すぎる…
ラストのオチは古典的ですが、ちょっとしたヒネリがってよかったです。巨大隕石衝突や天変地異よりこういうミクロな観点からの人類滅亡の方がリアルに感じます。
モンスターパニックを期待するとがっかりするでしょうが、地味ながら緊迫感があり楽しめました。