〝その残酷で恐ろしい行為は、動機や信念など理由などない…〟
冒頭の豚のシーンでこの映画の先行きが不安と恐怖で堪らなく、結末を向かえる前に妄想が渦巻く苛立ちさを感じる。
〝ベニー〟はビデオカメラのファインダーを通す事で、社会を客観視したかのように冷静な少年。
その冷静さは冷酷に変わり、恐ろしい行為に…。
荒れブレるビデオ映像が流れる数多くのシーンは、観ている側も〝ベニー〟の視点が垣間見れ事で恐ろしいさが増幅する。
なによりビデオ再生されたモニターは映画の画面の中の画面であり、観ている側の立ち位置が不思議な空間の狭間に陥る。
画面を通し目に写る出来事が本物か偽物かは一般メディアでも同様で、現実かどうかは自身で見極めなければ一方的で偏った社会に飲み込まれてしまう。
全ての行為に根拠や動機など理由を付けたがるのは、もしかしたら現代社会に流され凝り固まった固定観念に囚われてしまっているからかもしれない。
映画の少年の行為は到底、正当化も理解もできるモノではない。
しかし、理路整然と損得勘定で論理的な考えで行動するのではなく、少しだけ…ほんの少しだけでも感情に身を任せ思うがままに生きる事も必要なのかもしれない。
映画として面白いのですが何回も観るような面白さではなく、毎度のことながら後味悪いハネケでモヤッと気分が悪くなります..★,