Omizu

フィラデルフィア物語のOmizuのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア物語(1940年製作の映画)
3.5
【第13回アカデミー賞 主演男優賞、脚色賞受賞】
ジョージ・キューカー監督のロマンティック・コメディ。同名のブロードウェイ作品を原作とし、大ヒットした作品。アカデミー賞では作品賞他全6部門にノミネートされ、主演男優賞(ジェームズ・スチュワート)と脚色賞を受賞した。後に『上流社会』としてミュージカル化もされた。

話としては別に特別な展開があるわけではないのだが、キャサリン・ヘプバーンの役どころが流石という感じ。上流階級のお嬢様役であるが、とにかく気が強い。最初からパンツルックで登場するのがヘプバーンらしい。

上流階級だからこそ、というのもあるが男に合わせるなど決してしない。今だったら普通に「上昇志向の強い女性」としてポジティブに捉えられるだろう。ところどころ女は男に従っていればいい的な発言にヘプバーン演じるトレイシーは眉をひそめ笑い飛ばす。

しかしトレイシーは酒に弱く、結婚式の前日にジェームズ・スチュワート演じる記者マイクといい仲になってしまう。個人的にはデレデレのヘプバーンとスチュワートがこの上なく美しくて魅力的だった。二人向かい合ったときの麗しさや水辺を手を取り合って歩く姿がステキ。

目が覚めて結婚式当日になると前半のありふれたコメディタッチに戻ってしまうのが少し残念。安易にスチュワートとくっつくわけではない展開もそれはそれでいいけど、二人のケミストリーをもっと見たかった。

また結局収まりべきところに収まってしまうのが消化不良。このラストだとヘプバーンの強さが活かせてないんじゃないかな。

話は特別よくはないけど、ヘプバーンを愛でる作品としてはいいかも。スチュワートも共演のケイリー・グラントとは全く違う線の細い草食系男子っぷりがかわいい。
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