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鏡の中にある如くのleylaのレビュー・感想・評価

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)
4.2
配信終了間近につき。

たった2日の出来事なのに濃厚。
無駄がない脚本、計算された構図と巧みな採光・照明による映像、監督が死ぬまで愛したフォール島の美しさ。

今作はストレートに監督自身ことが描かれているように感じました。

作家である父ダビッド、姉カーリン、弟ミーナス、姉の夫マッティンの4人しか登場しない。家族の心がバラバラになっていき、家族でいるのに全員が孤独、そんな危うさを描く。

登場人物の誰か1人ではなく、4人それぞれに監督の思いを代弁させているように思えました。意図したのかはわからないけど、カーリンは実母の名前と同じ。

以下、内容に触れてます。勝手な解釈。







ボートの中でカーリンの夫が義父をなじるシーン。父に監督の父と自身のどちらも投影させているようで、監督としての苦悩が垣間見える面白いやり取りだった。

ラストに父が言う。
「愛は神そのもの。そう考えると救われる」
監督は神の存在を愛と捉え、自らの気持ちに折り合いをつけたのか、あるいは願いの言葉なのか、諦めの逃げ道なのか。
「神=愛」が監督の到達点と思えました。

姉に監督の母を投影させているようでラストの「姉さんは幸せ?」と弟の父への問いに、監督の実母への憐憫みたいなものを感じます。
最後に「パパが話してくれた!」とつぶやく弟もまた監督として捉えると、青年のきらめくような表情が愛おしい。
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