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鏡の中にある如くのhikariのレビュー・感想・評価

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)
5.0
イングマール・ベルイマン監督"神の沈黙"三部作の第一作目。
スイスから帰国した作家である父のもとで、精神病を患う娘カーリンとその夫の医者、17歳の弟が共に過ごす話。
カーリンが神を幻視する姿を通して、生と死、神の存在について問うている。
厳格な牧師の息子として生まれたベルイマン。
父から母への虐待もあり何も信じるものがなかったからこそ、"神の沈黙"に繋がっていると感じた。17歳のミーヌスと同じように、ベルイマンも父に認めて欲しくて、話し合いたくて、救われたくて、神の愛に飢えていたのかもしれない。最後のミーヌスの表情を見てそう思った。
愛が存在するということが神がいる証拠なのではなく、愛が神そのものなのだということ。腑に落ちる所があった。
現実からは逃れられないけど、ほんの僅かな希望の光も感じられた。
神は不在、救われないということを言いたいのではないと私は思う。
モノクロの濃淡、光と影の表現力は凄まじい程エネルギーがあった。
個人的に大傑作。
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