カッパロー

北北西に進路を取れのカッパローのレビュー・感想・評価

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
4.3
恋愛あり!スリルあり!大冒険!

広告会社の社長の主人公は、ひょんなことから悪の組織からCIAの諜報員だと勘違いされてしまう。行き違いから警察にも追われる身となった主人公は、怪しげな美女に助けられながら、組織を追うことになっていくのだった--

いやあ、良いねえ。The 映画。起伏がしっかりした、アトラクション映画中のアトラクション映画。MIP的な「手に汗握る」映画の先駆けがヒッチコックだったとは。

確かに、気になる点は多かった。設定はガバガバ、無能な登場人物で駆動するシナリオ、役割を押し付けられただけの型通りのキャラクター。しかし、それこそがこの種の映画の持ち味とも言えよう。ジャンル映画だからね、仕方ない。

純粋に、撮り方と映画技法は凄まじかったの一言に尽きる。女に寄り添うのか、主人公に寄り添うのか。観客の視点を、悟られることなく操りきってしまう技術は、現代までの多くの作家に真似されてきたに違いない。小物系の伏線回収なんて、今も多くのアトラクション系映画で真似され続けているよね。

願わくば、この映画をこの時代に見たかったな。今だと、どうしても他作品がちらつく。「手に汗握る」が産声を上げたそのときを、共有していたかったかもしれない。



てか、テンプレだけど、怪しげな美女と列車で出会うシーンが良すぎた。「絶対こいつ敵じゃんwww」となりながらも、自然と惹かれちゃったね。素晴らしい演技。
カッパロー

カッパロー