カッパロー

ウルフ・オブ・ウォールストリートのカッパローのレビュー・感想・評価

4.6
「フフフン フフフン フフフッフフフフハン」

不況によりウォール街を追い出された男は、自ら会社を作り莫大な収益を上げていく。自ら作り出した完璧なセールスメソッドと共に株を売り捌き、文字通り栄華を極める男と社員たち。しかし、違法性に満ちた彼らのやり口を嗅ぎつけ、連邦捜査官が動き出す。金・女・金・ドラッグ・金にまみれた彼らの行き着く先とは――

3時間を充填する、熱量。金銭に取り憑かれ、資本主義的快楽に取り憑かれた男の狂気じみた半生。スコセッシが切り取った主人公は、完全なる悪であるはずがどうにも魅力を感じずにはいられない。「早く痛い目を見てくれ...」と思いながら、一方で、いつまででも彼の栄華を観ていたいと感じてしまう。アンビバレントさの中で、ただ終始スクリーンの中に吸い込まれるような、そんな感覚だった。

同一カット内で通常の映像と昔のカメラっぽい映像を切り替えたり、技術的に凝ったことをいくつもしている作品ではあるんだけど、そんなことどうでもよくなるぐらい面白かったというのが正直なところ。

己の才能一つで成り上がる物語というのは胸を熱くさせるものだが、まさにこの映画もその好例だね。学歴も何もなかった彼らが、手法を覚え、熱に浮かされたように電話をかけまくるシーンには思わず心動かされた人も多いはず。

やりたい放題してドラッグでグチャグチャになっていく様すらもかっこいいいのは、すべて彼自身の才能と賢さ(と倫理観の無さ)で作り上げたものだからなのかな。


何事も、黎明期にはこうした狂気じみた熱意が必要だし、素直にかっけえなぁ〜〜〜ってずっと思って観てた。やっぱり、成り上がるその瞬間が一番スリリングで、おもろくて、最高なんだよねぇ。一度登りきってしまった山はその価値を失ってしまうのかもしれない。
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