Nちゃん

幸せなひとりぼっちのNちゃんのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
3.8
愛する妻に先立たれ、悲しみに暮れる孤独な毎日を送っていた老人オーヴェ。
そんなある日、隣の家にパルバネ一家が引っ越してくる。車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守など、何かと問題を持ち込んでくるパルバネ家にうんざりするオーヴェだったが、次第に彼らに心を開くようになり、やがて妻との思い出を語りはじめる。


頑固で短気で口が悪く、何かとすぐカッとなってしまうオーヴェ。
過去に愛する奥さんを事故で足が不自由になってしまったこと、その事故で子供を失ったこと、そして最近ガンで妻が亡くなったこと。そんな辛いことの積み重ねで、今のようなオーヴェになってしまったのも無理はない。
そんなオーヴェに隣家に新しい家族が引っ越して来たことで状況は一変。
子供との関わりや何かとすぐ頼ってくる奥さん、親しみやすい家族のおかげで、オーヴェはどんどん心を開いていき、奥さんの過去の話ができるようになってくる。

そんなオーヴェだが、心臓が大きすぎるとのことで倒れ病院へ搬送される。
その時は命には別状なかったのだが、その後ある朝オーヴェは目覚めなかった。

どんなに堅物な傲慢な人間でも、内にある優しさを感じ取って接してくれる人がいる。人は外見だけじゃない。必ず内側を見て判断してくれる人がいるということ。
オーヴェにはいつだって慕ってくれる町の人がいて、昔からの友人が話しかけてくれて、誰もが気にかけてくれていた。
オーヴェはひとりじゃない。
人間ひとりでは生けていけない。

ラストの親友ルネが施設に送られないよう、オーヴェ一人では無理でもみんなの力によって救ったこと。
いつも見回りに行く時間に玄関前が雪かきされていないことに気付いた隣人たちが、オーヴェを気にかけ家まで見に行ったこと。ほら、オーヴェはひとりじゃない。
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