ミーマ

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣のミーマのレビュー・感想・評価

3.0
待ってました!ポール・ヴァーホーヴェンが『ロボコップ』で本格的にハリウッド進出する前の作品、ついにTSUTAYAさんの発掘良品に!ずっと気になってた作品なので、さっそくレンタル!と張り切ってみましたが、ヴァーホーヴェン節は全開ながら、まだ作品のまとまり方が洗練されてないかな、という印象。

時は1501年。ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えローマ教皇から「異端者」として裁かれる、100年以上も前の話。ヴァーホーヴェンがこの映画で描いたのは、「宗教の名のもとにおける蛮行」と「科学」だった。また、この作品は『グラディエーター』のような壮大な歴史ロマンでもない。「暴徒と化した市民VS元城主の軍隊」というスケールの小さい話であり、スペクタクルではないのだ。また、軸になる城主の息子スティーヴンと修道女アグネスとのロマンスだが、ここに市民の中でリーダー的存在としてあがめられているマーティンが入ってきて、話はさらにややこしくなる。

ポール・ヴァーホーヴェンがこの映画で何がしたかったかと言えば、おそらくオランダ時代からの盟友ルトガー・ハウアーと組んでアメリカに乗り込み、ついでにヴァーホーヴェン映画には欠かせない金髪美女(ジェニファー・ジェイソン・リー)に思う存分脱がせて、かつ当時でもアメリカのオピニオンを構成していたキリスト教的価値観を、史劇という形で皮肉ることによって際立たせ、疑問を投げかける、ということだったのだろう。まあそれらは成功しているけれど、この2年後に管理社会とテクノロジーの進歩を痛烈に皮肉った快作、『ロボコップ』を撮っていると考えると、先にも述べたように、作品としての軸がぶれまくっており、エンタテイメントとしてまとまっていない印象だ。

ここまでかなりこき下ろしたが、ヴァーホーヴェンらしいバイオレンスとエロスはこの時にはすでに開花しており、ジェニファー・ジェイソン・リーが美しい裸体を惜しげもなく披露し、それを『氷の微笑』でもヴァーホーヴェンとタッグを組んだ撮影監督、ヤン・デ・ボンがいやらしくも芸術的に撮る、という点では評価してもいいだろう。とどのつまり、視覚的には楽しめる、言い方を変えれば、目の保養になる、そんな映画だ。
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