ミーマ

スタング 人喰い巨大蜂の襲来のミーマのレビュー・感想・評価

4.5
私がこの地球上でもっとも苦手とする生物、それは「ハチ」ではる。幸運にも、今のところ私がハチの被害にあったことはないのだけれど、小学生の頃登校中に、一緒にいた友人がミツバチに刺され、「ぎゃあぁぁぁぁ、痛ってぇぇぇぇ!」と泣き叫びはじめ(一語一句そのままではないが)、その場にいた私は突然の時代におろおろ、ただその場にうずくまるしかなかった、という思い出があるからだ。

こんな個人的な話がどうしたかって、ただこの映画を手に取るのに非常に大きな勇気を必要とした、ということだ。おそるおそるディスクを入れると、雄大な緑を映し、バックには感動的な音楽からスタート、そして二匹のハチのようなものがブーン。つかみはばっちりだ。

この映画、まずたたえるべきところはそのテンポの良さだ。B級モンスター映画って、焦らしすぎて興ざめすることが多いのだが、この映画はちょこっとお色気とコメディを挟んですぐにブーン。早速パニックがはじまる。

もう一つは、低予算にしてはなかなかよくできたクリーチャーだ。随所に『エイリアン』シリーズや『遊星からの物体X』のオマージュを交えつつ、グロテスクに巨大蜂が登場し、CGの蜂も割とリアルにできている。

さらにこの手の作品としては驚くべきことに、キャラクターの個性がしっかり描かれていることだ。クリフトン・コリンズ・Jr.演じる、端から怪しげな男は、最後にしっかり落としがあるし、悪役の多いランス・ヘンリクセン演じる市長はちょいと不愛想だが良心的な市長。そこに、主人公ポールとジュリアのロマンスが、これまたうまくブレンドされている。徐々にポールの男らしさに惹かれていくジュリア、87分の映画で、常にパニックが起こって中だるみせず、キャラクターを人数は少ないながらも描き切ったのはなかなかのものだ。

まあB級パニックお決まりの、「なんでそこで蜂が現れない?」とか「なんで主人公だけ運がいい?」とかあるのだけれど、この作品では笑って許せるどころか、むしろB級のお決まりをなぞってくれてありがとうと言いたくなるくらいだ。パッケージと邦題で損している気がするが、『ビッグ・バグズ・パニック』以来の掘り出し物ではないだろうか。
ミーマ

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