馬宮

ダージリン急行の馬宮のレビュー・感想・評価

ダージリン急行(2007年製作の映画)
4.0
2024年鑑賞一本目!
父親の死を皮切りに絶交していた三兄弟がインドを旅して絆を取りもどそうとするのだが、舞台であるインド都市部の無秩序感と兄弟三人それぞれの個性と主張とギスギスがぜ~んぶ混ざってゴチャゴチャに降り注ぐのでもう序盤は情報過多。

フランシスの兄貴面とかピーターの神経質なところとかジャックの女癖とか……鑑賞しながら、無理だろこいつらが仲良くやるのは……。
と半ば諦めながら見ていたが、中盤以降だんだんと雰囲気が清澄するにつれて「死」という輪郭が静かに浮き彫りになってくるあたりで空気が変わる。
無秩序とギスギスの奥にあった寂しさとか、やるせなさとか、憤りとか……でも画面の色使いや音楽の雰囲気で暗くなりすぎないから見ていて辛いという事がない。

荷物を放り出し、オー・シャンゼリゼが流れ出すエンドロールの謎の清涼感。
イイハナシダッタナー
……イイハナシダッタナーでまとめていいのか?
言葉で明示されるようにして何が解決した。という事が伝わる訳ではないが、三人のスッキリした顔を見るとなんかこっちまでスッキリしてくるから不思議。

スクロールするように劇中の周辺人物(しかも顔すら出てきていない人も出てきている)がヴィネットのような車室で流れていくシーンが綺麗。

喧嘩しながら「愛してる!」「俺もだよ!」と罵り合うのがすっごく印象的で、別にいがみあったり憎み合ったりしてるから衝突するだけじゃない、好きだからこそ全力と本音でぶつかって喧嘩することで表現される"仲の良さ"がかわいいな、と思う。
馬宮

馬宮