佐藤でした

ダージリン急行の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

ダージリン急行(2007年製作の映画)
4.0
ウェス・アンダーソン王子がお好きにデコレーションした“インド”を、まったりとティータイムにいただく感じのロードムービー!毎度そうだけど、食べちゃうのがもったいない可愛いケーキ映画ですな!たまらんっ

冒頭、頑張って走っても列車に間に合わないビル・マーレイおいたんのカメオ出演からしてもうもうもう。監督の作品には欠かせないお方。

‥父の死から1年、疎遠になっていたホイットマン三兄弟は、長男の呼び掛けでダージリン急行に集合。インドの旅を通して1年間の溝を埋めよう!という提案だったが、ヒマラヤの修道院にいる母親と再会するのが本当の目的だ。車内で派手に兄弟喧嘩しようと、毒ヘビが出ようと、道に迷おうと(レールなのに⁈)、ダージリン急行は目的地へとひた走る‥!

ウザいほど仕切りたがーりーの長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)と、何かと遺品を私物化する次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)と、失恋したばかりのポエマーな三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)。

三人は、お互いに好きでもなく嫌いでもない。敵にもならず味方にもならない。三人とも基本的に器は小さく、人の足をすぐ引っ張ろうとする。「ここだけの話‥」の秘密は10分と保たず筒抜けである。
その仲が良いんだか悪いんだかわからない感じの塩梅が絶妙で、“大人になればなるほど、ぎこちな〜くなるなる”と頷ける会話が散りばめられていた。
キャラクターが濃いわりに、パーソナルな部分までは掘り下げず、感情の起伏がよく見えないまま、事件が起きてみんながパタパタ走り回る、、という流れはもはや安定のアンダーソン。

‥結局、大小あわせて10個くらいある旅行カバンは“過去”を意味しているのだろう。
大好きなお父さんが遺してくれたものだけど、乗り遅れそうな時は意を決して手放そう。はじめは悔やむかもしれないけれど、走る列車に飛び乗ったことはきっと後悔しないから。
佐藤でした

佐藤でした