メランクさん

下女のメランクさんのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.0
「パラサイト」がオマージュしてるってことで知った作品ですが、
シュリ以前の韓国映画自体はじめてでして、
いろいろ興味深かったです。

近年の韓国映画に見る激しさみたいなものは、
もうこの頃から連綿と受け継がれたものなんだろうな。
というより国民性の反映ということなのかもしれない。
ポンジュノだけじゃなく、
パクチャヌクやナホンジンなどに見える
性の生々しさや暴力、復讐という痛さが、
直接的な描写なしでもしっかり伝わってくる。
同じアジアで国際的に評価を受けてる是枝監督や濱口監督とは、
やはり根っこから違うってのがおもしろいなぁと思う。

ラブレターを出しただけで謹慎を喰らい、
退職して帰郷するなり自殺してしまう工女。
その葬儀から帰るなりピアノ教師に想いを伝え、
拒まれたら服を破って脅すその友人。
そしてそれを見ていながら、
まんまと誘惑してものにする下女。

もう激しすぎてクラクラするんだが、
さらに妊娠発覚からの狂気がすごい。

妊娠を知った奥さんが下女に耳打ちし、
その通りにすると言って階段から落ちる下女!
精神を病んだ下女はそのまま居座り、
奥さんの方は第三子を出産。
その間、3日間も下女に食事を与えず、
下女は毒を入れたと偽って長男を殺害。
世間体のため、お金のために警察に言わず、
結局は服毒して心中…

こういう激しさは韓国人に根ざしたものなのかしら?
こういうエキセントリックなエンターテイメントが60年前にあって、
それで「お嬢さん」とか「パラサイト」とかが生まれてるんだなと
ものすごくしっくりきた。