ひろ

下女のひろのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.6
まさしく階段の映画。ロバート・シオドマク『らせん階段』に匹敵する階段映画ぶり。
小さい家に住んでいた頃は、妻のミシンの内職も主人のピアノのレッスンも同じ部屋で行われていたが、新居では、1階に夫婦の部屋、2階にピアノが置かれた。
悪事は2階で行われることになる。そして、家政婦の部屋も2階に。だから、2階へ向かう階段は、恐怖へ繋がるアイテムになっている。
家政婦と浮気をし、家政婦が妊娠してしまった事を主人から聞き、家政婦の居る2階へ上がる妻の後ろ姿の恐ろしさ。妻の近くに居たいのに、家政婦のワガママにより、家政婦に手を引かれて2階へ向かう主人と家政婦の恐ろしさ。家政婦と娘が階段で対峙する時のサスペンス。もう、階段がとても恐い。

家政婦が初めて家にやって来た時から、とてもふてぶてしい。「私がこれからこの家庭を乱します」と宣言しているかのように。ヌルっと家庭に入り込むのが似合う雰囲気があり、この作品に最適な女性だ。

主人と家政婦が初めて結ばれる時、家政婦が主人の足の甲に乗るショットと、主人がタクシーに乗った時の左右に揺れる主観ショットが出色。
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