ハレルヤ

下女のハレルヤのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.0
ピアノ教師を務める夫とミシンで内職をする妻。2人の子がいる4人家族に家政婦がやって来る。夫と家政婦が不倫関係になった事から、一家は家政婦に乗っ取られていくサスペンススリラー。

韓国映画の名匠ポン・ジュノ監督が敬愛するキム・ギヨン監督作。あの名作 「パラサイト 半地下の家族」も本作から影響を受けているという事で興味を持ち、鑑賞に至りました。

タイトルの「下女」。1960年の韓国では家政婦の事を指す言葉だったみたいで、ジャケットも含めてドロドロしたサスペンスらしさが充満。そういった作品を求めるならば完璧に応えてくれる作品でしょう。

一見よくある不倫もののようなストーリーですが、中盤に家政婦の妊娠が発覚してから物語は一気に恐ろしさを発揮。家族の命運を握った事で主導権を取った家政婦。とんでもない地雷女で精神的に不安定。何しでかすか分からないので、とにかく怖い。

韓国のヒッチコックと言われたキム・ギヨン監督。ホラーチックな演出と恐ろしさを煽る音楽で終始不安が抜けない見事な雰囲気作りでした。

家政婦を演じたイ・ウンシムの怪演もマジ半端ない。その場にいるだけなのに鳥肌立つくらいの怖さを醸し出しているのは流石。

そして言葉遣いが悪く憎たらしい弟を演じていたのは、今も活躍中のアン・ソンギ!今では俳優でも重鎮的なポジションの彼ですが、この幼い時から実力はしっかりと発揮していて驚きでした。

そして驚愕のラスト。まさかそう来るとは意外すぎて完全に予想外でした。この締め括り方をどう受け止めるかで評価も変わってくるかもしれません。60年以上前の映画なので古臭さは否めませんが、重厚な韓国サスペンスは十分堪能出来ると思います。
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