よどるふ

リングのよどるふのレビュー・感想・評価

リング(1927年製作の映画)
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遊園地の見せ物古屋でボクシングをしている男とその恋人(見せ物古屋のチケット売り)である女性の元にプロボクサーの男が現れる。プロボクサーの男が女に懸想をして女の心も揺れ動くのだが、女性の恋人であるアマチュアボクサーがボクシングの大きな試合に勝ったことをきっかけに恋人に結婚を申し込み承諾されてふたりはいったん結ばれる。しかし、プロボクサーの存在がふたりの間に横たわっているせいで関係はギクシャクしているため、女性をかけて男ふたりはボクシング対決をすることになる。

タイトルの「リング」はダブルミーニングになっている。ひとつは、ボクシングの試合が行われるリングのこと。もうひとつは、プロボクサーの男が女性に贈った“腕輪”のことである。目に見えない心の状態を映す道具として、この腕輪をどう見せるかの演出がとにかく巧み。贈られた腕輪を手で隠したり、結婚式のシーンで左手の薬指に指輪をはめるところで腕輪がズリ落ちてきたりなど、言葉によらない感情表現にハッとさせられる。そんなキーアイテムである腕輪を最終的な恋の決着がつくラストにおいてどう扱うかもキレイに決まっている。途中、女性が占い師に占ってもらうシーンでのトランプの使い方も良かったな。
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